モノクローム ストーリー

姉のように慕っていた友達が急逝しました。
若くてきれいでおしゃれな方でした。
突然の訃報に驚きましたが、それ以上に彼女の遺影を見て愕然としました。
「あんなにきれいな人だったのにこの写真しかなかったの?」

女性は母になった時から自分はのことは二の次。
写真のメインはどれも子供の屈託のない笑顔や元気な成長の姿ばかりです。
でもこの時に思いました。
「自分が一人の女性として生きていた証として、ちゃんとした写真を残しておこう」と。

あれから10年。
彼女が亡くなった年をとうに過ぎてしまいました。
でも未だに遺影に使ってほしいほどの写真はありません。
まだまだ中身が足りないからなのでしょう。

今回の撮影は新庄公園。
子供達が遊んでいる公園の中に咲く朝顔がなんとも儚げで、
母と息子の言葉にできない微妙な気持ちのズレが、うまく表現されていると思いました。